喧嘩

2/5
前へ
/5ページ
次へ
「俺さあ、陰陽師の子孫なんだぜ」 発端は、親友である芦屋清満のこの一言からであった。 下校中にいきなりそんなこと言われても、意味がわからないという人が多いだろう。 無論、彼等もそんな多数派だった。 「清満、嘘つけよ。お前みたいな奴が、怪しげな術者の訳ないだろう?」 「清満くん。冗談でしょ?」 竜貴は笑い飛ばし、若菜は微笑した。 「な、嘘でも冗談でもねぇよ!父ちゃんが言ってたんだよ!」 そう弁論する清満。しかし、信じられる訳がない。 昭和の不良としか言えないような、金髪をワックスできっちりと固め、背も百八十を越える長身である。 その上、学ランは喧嘩のし過ぎで中学一年生の夏にしてボロボロで、(喧嘩で)鍛え抜かれた腕や足は非常に筋肉質である。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加