左耳から流れる音。

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「ふーん。……俺がその中に入ることって今さらできる?」 竜太君の今まで見たことないような視線にドキっとした反面、私は竜太君が何を言っているのか、わからなかった。 「竜太君がうちに住むってこと?」 竜太君は私が言った後、すぐに吹き出した。 「お前なー、………あーもーー。 …………………いいわっ! んじゃあ、お前が小さい時に俺に約束したこと覚えてる?」 竜太君は面倒くさそうな顔して頭をかいた。 「竜太君と結婚するってやつ?」 「そうそう、それ。………俺の中ではその約束、本気なんだけど。」 いつもそうだった。竜太君は私よりも歳上で大人で、いつも私の考えないことを言う人だった。 これは冗談なの? いつものふざけたやつなの? 「………………。」 「直己がいるからダメ? ………そんなことないよね。 まだ直己と結婚はしてないんだろ。」 私はどうしたらいいかわからなくて下を向いてしまった。 ………どうしたら…いいんだろう。 直己は婚約者で………私の好きな人で… でも竜太君は結婚の約束を小さい頃して ……………だから、婚約者!? 「あー、ごめん。ごめん。 そんな悩んで欲しいわけじゃないから。 俺も一応、お婿さん候補の1人だよって言いたかっただけだから。」
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