左耳から流れる音。

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竜太君が私のシワのよ寄っている眉間を指で押した。 「いや、なんて言うか、清水組の血を継ぐ頭首って言うけど私は頭首にはなれないから、そこはどうなんだろうと思って…。」 「あー、それはもう仕方ないんだよね。 頭の子供が万里奈の親父さんしかいないだろ? それに、万里奈にも兄弟いないし、俺らは直結の血じゃないし、もうどうにもならないんだよ。 まあ、ここだけの話、表向きには万里奈も組の頭首ってことになってるんだ。 だけど、やっぱり女が組のトップっていうのはこの世界じゃタブーだし、頭も大事な孫娘になんかあったら、頭首がなんだとか言ってる場合じゃないしな。 だから組では頭首は万里奈の結婚相手になっているけど、表向きでは頭首は2人ってことになるらしい。」 間がよく私の頼んだグラタンが運ばれてきた。 店員が席を離れたのを確認して、竜太君は口を開いた。 「でも、血縁とかそういうのまだあるのはこの組だけだし、逆にこういうの守ってるから潰れないのかもな。」 皆が言わないだけで、私が知らないうちに表向きにはどうとか、血縁とか、きっといろいろ揉めたんだろうな。
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