左耳から流れる音。

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「ねえ、竜太君こんなにモテるんだから、彼女いるでしょ?」 車に向かいながら、竜太君がレシートを見て鼻で笑った。 「いや、いたら万里奈に婿にしてなんて言わないよ。」 竜太君は顔もかっこいいし優しいし、面白くて、彼女がいないなんて思えない。 「嘘っ。隠してるだけでしょ。」 「隠してないって、お前本当、鈍感だよな。」 そのレシートをクシャッと潰してポケットに入れた。 「ああ、なんで貰ったレシートをそんなことしちゃうの?連絡してあげればいいじゃん。っていうか、鈍感じゃないっ!」 「あーもー。馬鹿。お前、本当に馬鹿。」 「なんで、そんなに馬鹿馬鹿言うの!? 連絡してあげてよ!」 「今日、話したこと全部忘れたわけ? 俺、お婿さん立候補したよね?」 竜太君と私は車に着いたのにも関わらず、車の前で話していた。 「聞いてたよ! だから、なんで婚約者のこととレシートの連絡先のことが関係してるの?」
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