25(続き)

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 五王龍起(たつおき)はなにかをおもしろがる顔で、周囲を見まわした。期末試験の成績が張りだされたばかりのホールには、一年生のほぼ全員が集まっている。タツオキは銀の眼鏡(めがね)を指であげると、一段と声を張った。 「軍略の天才といわれ、自らの機甲師団を率いて、数々の戦場で華々しい武勲をあげたアルンデル将軍が、その後どうなったか、知りたくはないか? どうだ、逆島断雄(さかしまたつお)」  ジョージだけでなく、自分にまでからんでくる。タツオキという少年の目的はなんなのだろう。頭ではそう考えながら、タツオもジョージの父が、なぜ悪名高いのか理由が知りたくてたまらなかった。  ジョージはこの場を静観している。クニはタツオと同じように興味津々、テルだけは周囲への警戒を解(と)いていなかった。3組1班はすでに何度か正体のわからぬ敵に襲撃されている。校内も安全とはいえないのだ。  ジョージは涼やかにいった。
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