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「そんなにあの嫌味男が良いわけ?」
せっかく綺麗な顔なのに、
眉間にシワを寄せてクッキーをかじる。
今日のお茶菓子は、スノーボール。
白くて丸い雪球みたいなクッキーで、
有塩バターを使うから、
塩味が甘みを引き立てるのだとか。
「嫌味男って、勝のこと?」
「他に誰が居るのよ」
杏奴の憮然とした表情に、
田中がクツクツと笑い声を上げた。
「杏奴先輩、生徒会長がキライなん?」
意外そうに言ったのは、間宮だ。
杏奴は部長である、高嶋類の妹なので、
部員には名前で呼ばれている。
「面白い人じゃん」
彼らの所属する剣道部には、
副会長である慎一がいる。
その関係で、勝とも顔見知りらしい。
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