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季節はクリスマス一ヵ月前。
十一月も終わりに近づいたある日、学校帰りに友達と立ち寄ったファミレスでのことだった。
「え!?みんな彼氏できたの!?!」
仲良し三人組のメンバーである千佳ちゃんと智ちゃんの二人の顔を交互に見つつ私はドリンクバーのグラスをドンとテーブルに置いた。
「い、い、い、い、いつの間に!?」
「落ち着きなって、美海(よしみ)」
オレンジジュースのグラスをこれでもかとぎゅっと握り締める私に千佳ちゃんが平然とした顔で窘めてくる
「この間、東男子校の学祭にみんなで行ったでしょ?」
「う、うん」
「その時に知り合った男の子。その友達も交えて遊んだら智子もその子とくっついたっていう話」
千佳ちゃんの横で静かに頷く智ちゃん。
そ、そんなことがあったなんて。
「えー!私も誘ってよ!」
「あんた誘ったら、『タイプじゃない』って断ったじゃない」
そうでした。
ナンパみたいに声を掛けてきたから私はそういうチャライ人無理って辞退したんでした。
千佳ちゃんはボブの髪を少し明るく染めてお洒落に気を使う今どきの女の子。
だから、わりと彼氏がいつもいて、別れてもすぐできるモテ子だ。
その千佳ちゃんがちょっと前に彼氏と別れて、「今年は三人でクリスマスを過ごそうね!」と固く誓い合ったというのに。
あっさりとその約束は反故になった。
でも、何となく千佳ちゃんはモテるからギリギリになって「やっぱ彼氏できたわ」ということもありえると心のどこかで思っていたけど。
まさか、智ちゃんまで。
智ちゃんは黒髪ロングヘアーのクールビューティーで、男子なんて興味ないって顔してどちらかというと私寄りの派手なことを好まない性格なのに。
智ちゃんにも、か、彼氏が!
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