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男が振り被ったハンマーは轟音をあげてユースを襲った。
周囲から悲鳴があがる、確実に頭が吹き飛ぶような威力で振られたのだ。
「もっと、こう、ズバーン! ドゴォ!! って感じじゃないと。こうですね、振りはこう、握りはこんな感じで、あ、殺す気でお願いします」
そこには無事な姿、ハンマーを頭に叩きつけられながら不満そうに漏らすユースの姿。
わざわざ握りや振りなどを指導して、もう一度とばかりに指を立てている。
「このお馬鹿」
「あひぃぃいいいぃい!!」
呆れたような声と一緒に振り抜かれた混はユースの側頭部を打ち抜き、恍惚の表情をしながら吹き飛ぶユースは地面を二回、三回と跳ねて止まる。
震える手を上げて親指を立てて、快感のあまりパタリと手を下ろして痙攣していた。
鼻を打たれた訳でもないのに鼻血を垂らし、晴れ晴れとした顔。
「喧嘩やめなさいな、私の混の餌食になりたいなら続けてもらっても結構よ」
突然現れた乱入者、見えない程の打撃。物凄い衝撃がしてボールか何かのように跳ねていったユースを見れば男二人だけじゃなく周囲も青い顔をする。
明らかに殺人が容易にできる威力だった、普通なら首の骨が折れるだろう。
それを何とも思っていないのか、キャンベルは武器を消した二人の男性に笑いかける。
「良い判断ね、私短気だから。抵抗を示したらあの子のようになっていたわよ」
示した先には頬を赤く腫れされたユースの姿、締まりのない笑顔が浮かんでおり残念美人具合が凄い。
普通ならその程度で済むはずがないのだ、男達は震える足を必死に隠して白々しく仲直りの握手をしてそそくさと去っていった。
「ほら、起きなさいな」
「んひぃぃいい!!」
周囲はユースの元へ歩き出すキャンベルは容赦無く混をユースの腹に突き刺す。
更に鼻血を噴出すユース、恍惚とした表情から現実へと戻ってきたらしく、何事も無かったように立ち上がる。
「流石ししょーの曾孫、ドSで容赦無いね!!」
「鼻血つけたままで喋らないでくれるかしら? 気持ち悪いわ」
笑顔でサムズアップするユースに冷たい視線を向けるキャンベル。
それにユースが背筋を震わせる。
これが二人の関係だった。
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