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初めて見た時から、何故かその人に惹き付けられて目が離せなかった。
俺の通う高校では、学年が上がる毎にクラス替えがあって。
二年生になって同じクラスになったその人は、名簿順でも離れているからまだ一度も話をした事が無い。
目元まで隠れるんじゃないかと思うくらい少し長めの黒髪、知的な黒縁メガネ。
制服のブレザーやシャツも着崩す事なく、キッチリ着込んでいる。
物静かであまり友達とはしゃいだりはしないみたいだ。
廊下側の一番後ろの席に座って本を読んでいる姿は、どこか他人を寄せ付けないような雰囲気がある。
真剣な表情で読んでいるのは小説なのかな?
表紙にアニメみたいなイラストが描いてあるけど。
「何読んでいるんだろ?」
休み時間だけじゃない、授業中もたまにその姿を目で追ってしまう。
「話し掛けたら邪魔だよな~」
自分から『仲良くなりたい』と思った人は初めてかもしれない。
いつもは少し話をして気が合ったら仲良くなる、そんな感じで友達を作ってきたし。
まだ相手がどんな人かも知らないのに仲良くなりたいなんて、俺にしては珍しい事で。
どうやって話し掛けたらいいかすら解らなくて、きっかけというかタイミングを窺ってばかりだった。
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