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俺が指差して初めてその存在に気付いたらしい。
「アイツ、同じクラスだったんだ」とポツリと呟いたのだから。
「知ってんの?」
「奥田睦月だろ? 一年の時同じクラスだったし。話した事はないけど」
下の名前『睦月』っていうんだ。
いつも先生が名字で呼んでるから、初めて知った。
うん、名前もカッコイイ。
「奥田がどうかしたのか?」
「え!? いや、どうもしないんだけど~」
自分でもどう言っていいか解らない。
何だか妙に惹き付けられただなんて。
仲良くなりたい。
どうしたら俺と話してくれるのかな~?
不意に奥田君が読んでいた本を閉じて席を立つ。
そのまま教室を出ようとしていたので、慌てて俺も立ち上がった。
「陽太?」
「あ~、えっと。便所行ってくる」
本を読んでいる最中は邪魔しちゃいけないような気がして話し掛けられなかった。
でも今ならいけるかも!
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