31人が本棚に入れています
本棚に追加
「それじゃあ、フェイズの誕生日を祝って…かんぱーい!!」
フェリエの掛け声がかかる
それと同時に船上の全ての人の
明るい声が響き渡る
「おめでとう!!」
。
フェイズとしてはこの歳でここまで誕生日を祝ってもらうのは恥ずかしいのが大半だが
フェリエの好意を無下にはできない。
「ありがとうございます。」
照れ笑いになってしまった
やはり恥ずかしいのだ
けれども退屈な日常から
今日だけ抜け出せたのは事実
フェリエには感謝せねばなるまい
乾杯してしばらくの後
フェイズはデッキで海を眺めていた
その姿をオルガは見つけ
悲しそうな、しかしどこか嬉しそうな背中に声をかけた
「フェイズ様?」
「ぁっ…なんだオルガか。」
慌てて振り返るフェイズに
オルガは海を眺める理由をわかっていながらも問う
「何故…海を眺めているのですか?」
「海が好きだから…なんて理由じゃダメ…か?」
オルガはわかっていた
遠い海に思いを馳せていた事も
自由な鴎を羨ましがっていたことも
魚のように海を泳いでいきたいと思っていることも…
「魚になれたら楽しいでしょうね…。何て感じですか?」
「あぁ…。」
フェイズは微笑んで再び海を見た。気付けば空は曇っていた
最初のコメントを投稿しよう!