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「天気が…崩れてきたな」
「そうですね。出港した時はあんなに晴れていたのに…」
二人の見上げる空は
いつの間にか暑い雲に覆われていた。今にも雨が降りそうだ
風もだんだん強くなってきているようで、船が揺れている
「姉さんは帰る気ないのか?」
フェリエは酔っているようで
顔を赤くして笑っていた
しかし、中には気付いている者もいたようで
何やら慌ただしい
「なんだか嵐が来そうですね…大丈夫なんでしょうか?」
「嵐など来たら危険だ…あ、雨が降ってきたぞ」
サァッと一気に降ってきた
あまりにも唐突だったために
船上の人間は大慌てだ
「急いで港に戻ります!!」
船長の声が響き渡る
しかしそれは大雨の音で掻き消されてしまった
そしてもう遅かったのだ
土砂降りの雨が船上にたたき付けられる
強風が船を揺らしている
もはや立っているのも辛い程だ
「フェイズ様、大丈夫ですか!?」
オルガが必死に叫んでいる
しかしフェイズにはほとんど聞こえず、ただ必死に手摺りを掴んでいる
その時だった
突風が雨と共に船を大きく揺らした
その瞬間…フェイズの掴んでいた手摺りが
…折れた
『バキッ』
「「えっ!?」」
二人分の叫びが聞こえた
手摺りが古くなっていたのだ
「うわぁぁあああ!!!」
フェイズは真っ逆さまに
海に落ちてしまった…
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