なんてことはない、いつもの日常

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「しっかし、ここは相変わらず賑やかだよな。ここまで人が多いと、人に酔いそうだぜ」 「んー? ......ああ、まあギルドがあるからしょうがないよね。ギルドのある場所には人が集まる、人がいる場所には商人が集まる、ってね。当然の摂理だよ」  辺境の村出身のアルマには、この人混みは中々大変なものだろう。なぜなら田舎では、家の前でコサックダンスを踊ろうが何をしようが、住民からは文句一つ言われない。  しかしこの国では、自宅前でオクラホマミキサーを踊った途端、道行く人々にぶん殴られるのは当たり前。しかも最悪の場合狂人扱いされ、警備兵を呼ばれることもままあるのだ。  顔に青あざを作り、警備兵とお知り合いになった数年前の彼が、この結論を一週間で下したのはそう不自然なことではなかった。――都会は恐ろしい所、と。 「あ、それ君の話なんだ!? 何で踊っちゃたの!?」 「......だって、村にいた頃からの日課だったし」 「それでもよく一週間も続けたね!? 普通、通りすがりの人に殴られた時点で止めるから!」 「......なんか、習慣になってたからやらないと落ち着かなくて。それに冒険者になるには折れない心も大事かなぁ、って......」  アルマの意外な過去に戦慄するミュウ。その表情には、彼の想像外に豪胆な性格と、恐ろしいまでに美しい冒険者魂に対して、尊敬と畏怖の念がありありと込められていた。
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