都市伝説

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 『都市伝説』  小さく寂れた村にすら少なくとも一つは存在しているそれが、この世界で最も大きく、年中人が行き交ってる王国、【ジパング】に無いはずが無い。  真偽はともかく、こういった噂話は酒の肴になりやすいものだ。  現に、先日十九歳の誕生日を迎えたばかりの、この世界ではかなり珍しい『黒髪黒眼』を持った青年。彼が一人寂しくグラスを傾けている酒場でも、そういった類いの話で盛り上がっている男達がいた。 「――――神級魔法ゥ? はっ、流石にそれはありえないだろ。だって最上級魔法ですら放てたら『天才』って呼ばれんのに、それより上があるわけなんか無いだろ!」 「いやいや、マジだって! どうやら『勇者』が使えるらしいぜ?」  酔っ払っているのか、酒場中に聞こえるくらいの声で騒いでいる、真っ赤な顔をした二人組の中年の男達。片方が熱く語っているのに対し、もう片方はやや懐疑的だ。 「......『勇者』? ああ、確かお前がさっき言ってた......」 「そうそう、数あるダンジョンの中でも最強の選ばれしダンジョンの主、つまり『魔王』の事だな。そいつが世界に宣戦布告した時に、この国【ジパング】に伝わる秘術で召喚される者、それが『勇者』なのだ!」
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