都市伝説

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 これほどまでに膨大な量のポイントを集めて、青年は何がしたいのだろうか。これがただの倹約家だとか、貯蓄オタクだというのならまだ可愛げはあった。  しかし彼はある目的のためだけに、実に『三年』もの時間をかけて用意したのだ。  そのポイントは、彼の恐るべし計画のプロセスになるのだ。 「......クフフ、あと少しだ......。......あとほんの少しで、俺の計画が実現する......!  ......あはっ、あははは......あはははは!」 「あははははははははははははっっ!!!!!」  彼は嗤う。己の計画が実を結んだ時の事を妄想して。  その計画をどう思うかと聞いたら、十人中九人が口を揃えて『狂っている』と言うだろう。  だが、彼は自分の事を正義だと思っている。『計画』が世界を正しい方向に導いてくれると信じている。  正しいと信じているから曲がらない。故に救えない。  もし彼の計画を止めたければ、起こりもしない奇跡を神に祈るか、彼が手にする力をも上回る絶対的な力で叩き潰すか。  それとも、彼の中にほんの少しでも『良心』がある事を祈って、彼の振りかざす正義に怯えながらひたすら息を殺して待つしかないだろう......。  これは、己の振りかざす正義という名の『エゴ』を貫くために戦う、彼、彼女らの軌跡を描いた物語である――――――。
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