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わたしのせいだ。こんなことになったのは。
脛ほどの高さの青々とした鋭利な草が生い茂る。一回転してもその景色が変化することはない。草原の地平線。
わたしはその中にポツリといるイレギュラー。淡緑の海に遭難した紺色の船。上空飛び交う鳥たちには、わたしのことはそう見えているのだろうか。
見えていたところで、誰も助けてはくれないけれど。
はあ。視線を再び淡緑の水平線に戻す。陸地は見えやしないけれど、陸地を見つけ出さない限り、わたしはいずれ死ぬだろう。水も食料も何もない。本当に陸の海原にいるようだ。
「ここはどこなのだろう」
問いかけたところで返ってくる答えもない。上を行く鳥たちからは、そんな答えが返ってくるはずもない。
どさっと背中から草原に倒れ込む。わたしの重みで折り重なった平行脈の葉が、多少クッションとして働いてくれたのか、チクチクとする痛みはあったけれども、地面と衝突した痛みはそんなになかった。
真上に輝く太陽に手を伸ばす。
雲一つない青空に太陽は、いつも通りにそこにいる。
「少なくとも地球ではあると見ていいのかな」
答え代わりに温い風が顔を撫でる。とりあえず生きていることが実感できる。
あまりにも現実離れしすぎていて、筋道立てて考えることすら困難だった。生きているということすら、それすらも疑いたくなるような出来事……。サヨさん、メイさん、山城さん。次々にあの三人が何かに飲み込まれるかのように姿を消していった。
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