第Ⅰ章 絶望と再会と 正篇

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〈サエグサ、どうする……〉 〈……ノープラン万歳〉  俺たちは何も考えてはいなかった。新入生歓迎会という名の部活対抗新入生狩り。  先輩たちが卒業してしまった今、部員は俺たち二人だけだった。早紀がいたころは、この部活はかなり賑やかだったと言う。十人以上いたらしい。二年前のはずなのだが……。今ではとてもじゃないが、信じられない話だ。  そして、その黄金時代とも言える時代を築いた最後の先輩たち三人は、この間、こぞって卒業してしまった。  いまや、部員は二年生の俺たちだけだ。一つ上の年代はいない。……二つ上とは、大した話はしなかったから、いてもいなくても、結局は変わらないのかもしれないが。 〈予算減らされるよ、間違いなく……〉 〈そもそも同好会に格下げだろうな〉  男二人のため息がマイクに拾われる。最早やけくそだった。 〈どうも黒髪の三枝と〉  お前も乗れ。そう目に力を込めた。 〈白髪の山城です〉 〈以上! 神秘研究部でした!〉 「ったく、よりによってこんな夢かよ」  一日中動き回ったせいで、寝てもだるくて仕方がない。ようやくたどり着いた森の出口で、倒れるようにして眠っていたようだ。  やっと木々から抜け出せて安心したのは覚えているが、それから先の記憶が……あやふやだ。  とにもかくにも、鬱蒼と木々が立ち込めていたため、歩くことすら容易ではなかった。ひたすら腿上げのトレーニングをさせられ、足はパンパンだ。何のために運動部に入らずに文化部に入ったのやら、だ。まあ、まともに活動してたわけじゃないが。ほとんど行ってなかったしな……。行ったところで……――――。 「くう……痛え」  もう何日付けっぱなしだったのだろうか。バリバリになったコンタクトレンズは、俺の目にかじりついている。もう、限界だ……。このままだと目がレンズに食い千切られる……。取ろう。  目薬は強烈な痛みを促進させる。その痛みに思わず、上半身がうようよと動いてしまった。傍から誰かが見ていたら、きっと気持ち悪いこと、この上ないだろう。  ああ、痛い。
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