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長い長い海上での何も変わらない、そんな景色を見つめ続ける生活から解放されることに喜ぶのか。
絶え間なく漂う潮の香りから抜け出せることを喜ぶのか。
それとも新たな陸地への上陸を喜ぶのか。
懐かしき故郷の姿に涙して喜ぶのか。
たった二日間、草原という海原を漂流しただけのわたしには、彼らの正確な真意はわかりようもない。
けれども、そんなわたしでも、しっかりと視界に収められるほどに丘の姿が見えてくると、湧き上がるものがあった。たった二日間かもしれない。けれど、青々とした草の匂いはすでに感じられなくなり、飲み水もすべて費やしてしまったわたしには、この上なく嬉しかった。
謝るまでは死ねない。三人に謝るまでは、それまでは生きなければならないから。
……けれど。
そう。嬉し『かった』。
近づくにつれて大きくなっていくその姿に、わたしは何度心を奮い立たせただろう。何度励まされたことだろう。もうあれだけ見えてきた。あとちょっとだ。頑張らなきゃ。
そんな風に、自分を鼓舞するわたしをあざ笑うかのように、それは近づくにつれて遠くなった。
あの丘は……丘というには高すぎた。
近づけば近づくほどに、その距離が遥かに遠いことを突き付けてくるその高さ。皮肉なものだった。必死に体力を振り絞れば振り絞るほど、気力は搾り取られていく。
わたしは、絞りかすになっていた。
希望を絞られた。
足元から伸びる絶望の影は、わたしを何も言わずにじっと見つめ返してくる。
『神園』での二度目の夕陽は、きっと、赤く黒く輝くのだろう。
「こうか?」
『compile complete』という文字が画面に踊る。その瞬間だった。
突然、目頭が熱くなった。
哀しくなって涙を流しそうになったわけではなかった。心臓から一気に血液が送り込まれて、本当の意味で熱くなった。そういった感じだった。
「嘘……だろ」
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