第0章 始点

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 わたしのせいだ。  わたしのせいだ。  わたしのせいで……。 「わたしのせいです……メイさん……サヨさん……山城さん……」  さっき。  さっき……。  ほんの少し前まで……さっきまで、当たり前のようにわたしの前にいた人たちは、次々に何かに引き込まれるように……飲み込まれるように消えて行った。  四人掛けの正方形のテーブル。  当たり前だと、これからは当たり前になるんだと思ってた。  でも。  もう、戻らない。  夢なんかじゃ、ない。  どうして、どうして夢じゃ……。  いくら、目をそらそうと思っても……彼らの声が聴こえないことが、無音が、彼らがもういなくなってしまったことを、叫んでくる。強く、訴えてくる。  当たり前に続くと思っていた『さっき』。  その面影を、探す――――。  わたしの右隣に座っていた彼女……。  中学生の時に何度か会ったことがあるだけのわたしを、なぜか気にかけてくれて、友達になってくれたサヨさん。  今まで通りに、ひっそりと教室の陰で過ごそうとしていたわたしを、陽の当たるところに連れ出してくれた。……あの彼女の明るさの象徴だった、気持ちの良い笑顔は――――もう、残像でしかない。  主のいないイスの背もたれは、西陽に嫌味なほどに晒されている。  さっきまでなら、そこには、螺旋階段のように緩やかにくるりとなっていた茶色の髪が、鮮やかに、輝いていたはずなのに……。彼女が座っていた席は、空中に浮き始めた彼女が、首を押さえて、苦しんで、いた時に、勢いよく後ろにひっくり返ってしまったままだ。  何かあれば、メイさんに口悪く文句を山ほど言っていたのには、とてもハラハラした。けれども、その様子が二人ともすごく楽しげで……。わたしも、本当のところは、そんな様子を見るのが楽しくて仕方なかった。  少し、恨めしく思ってしまうほどに。
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