鈴木と中村

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 なんて算段をしながら何気なく鈴木の隣に座っておく。さすがは俺。抜け目ない。 「そうか。それはせめてもの救いだな」 「おうよ!これを見ろ!超人気AV女優、小野崎りおんの最新タイトルだぜ?そこの茂みに落ちてたんだよ。いやー、ラッキーラッキー。棚からぼた餅ってのはこういうことを言うんだろーな」  自分で言うのもなんだが、俺はAVに並々ならぬ情熱と知識を持っている。だって男の子だもん。仕方ないよね。だが鈴木も男の子。こういう話に乗ってきてくれるはずだし、なによりも俺が三倍増で饒舌になれる。これを武器にまずは距離を縮めてしまおうという作戦だ。さっきから鈴木が目線を逸らしているような気がしないでもないが、多分気のせいだろう。 「そうか、良かったな」  あ、そんなことは無かった。随分と淡白な反応だ。ていうか確実に俺と目を合わせないようにしてる。いや、しかし簡単に諦めてはいけないな。俺は今日、鈴木と友達になるのだ。 「いやいや、りおんちゃんってさ、童顔なわりに胸がデカくてさ、ギャップ萌え?っつーの?なんつーかアンバランスな感じが堪んねぇの。それにテクニックも半端じゃないしさ。上目使いであんなことやこんなことされたら……うっひょう!想像しただけでちょっと興奮しちまったぜ」  とはいえ、調子に乗りすぎたようだ。気が付いたら鈴木がちゃっかり俺から距離を取ってるじゃないか。距離を縮めるつもりが逆に開くってどういうことなの。早々にこの話題は切り上げた方が良いかも知れない。 「いかんいかん。家に帰ってからのお楽しみだな。かと言ってこのまま持って帰るわけにもいかないので……コイツの出番ってわけだ!さっき一緒に拾ったなんか知らないバンドのCD!このケースにりおんちゃんのAVを入れておけば誰にもバレないという寸法なわけよ。ぬふふ、俺って天才?」  とりあえずCDのケースに早々とAVをしまって話題を切り替えよう。 「あ……?」  と思ったが、何故かAVのケースは空っぽだった。 「なんで空なんだよ!?これじゃただのゴミじゃん!全然ラッキーなんかじゃねえ!ゴミ拾いしててゴミ拾っただけだ、いやまあゴミを拾っていたんだけども!」 「常識的に考えて中身が入ったものが落ちていると考える方がおかしい」
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