おまけ 記憶の中の宝物 sideミウ

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二人の会話を伺いながら妄想が広がる。 会社を辞めるのは転職を前提が多いけど、この二人の雰囲気…。 女性のこの甘えよう…。 もしかしたらこの男性に前々からプロポーズされていた? 悩んだ挙句やっと女性も決心がついた? そうだよ。きっとそうだ!返事をするんだよ。 誰が見てもお似合いの二人だもん。 男性だって返事を待ってたはずだ。嬉しく思っているはずだ。 私は椅子を少しずらすと背向かいに座る男性に意識を集中した。 そしてドキドキしながら男性の反応を伺っていると予想外の反応が返ってきた。 「何で?」 背中を向けているから表情は見えないが、その言い方は疑問形だが驚きもなさそうだ。 まるで興味がないようにも感じる えっ?何この反応。 私は男性の返事に拍子抜けしつつ、苛立ちを感じていた。 …何で? 何でってないでしょ? 女性はあなたに聞いて欲しいのよ。 もっと興味を持ちなさいよ! 私だったらこんな反応をされたら拗ねるけど、この女性は男性の反応を予想していたらしい。 「ふふっ」と笑うと同じ調子で話し出した。 「独立よ。前から少しずつ進めていたんだけど、やっと上手くいきそうなの」 「ふーん」 「あと半年。それまでには全てを終えているわ。その時は是非あなたにきて欲しい」
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