おまけ 記憶の中の宝物 sideコウ

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女は俺がハンカチを拾っているのに気づいていないか、そのまま手を伸ばしてきた。 そしてそのまま俺の手を掴む。 「あれ?」 女はハンカチではない違和感に気がついたのだろう、素っ頓狂な声を出していた。 そして俺の手を掴んでいる事に気がつくと慌てて手を離した。 「あわわっ!すいません」 女は顔を上げようとせずに謝った。 きっと自分のした事が恥ずかし過ぎて顔を上げれないのだろう。 …まっいいんだけど。 それにしても「あわわっ」って…。 普通言わないよな。バカなのか? この女、面白いな。 俺は恥ずかしそうに俯いている女を見ながら吹き出しそうになった。 でもここで吹き出したらきっと気分を害するだろう。 だから俺は何も言わずに女の手元にハンカチを置いた。 すると女は俯いたままペコリと頭をさげると小さな声でお礼を言った。 「ありがとうございます」 その言い方、仕草が可愛くて、まるで子犬のようだ。 思わず頭を撫でたくなる。 と思っていると理沙の視線を感じた。 …そうだった。今日はコイツといたんだっけ。 その瞬間、嫌な予感がした。 コイツの女王様気質な性格上、話を止められるなんて許せないはずだ。 そしてその不満をこの女にぶつけられるのは嫌だ。 俺は女に「いえ」と短く言うとイスに座り直した。
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