おまけ 記憶の中の宝物 sideコウ

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「あっ!コウ、あれ行こう!」 ミウは何かを見つけたのか、そう言うとするりと手を離し、ふらふらと人混みに紛れて行った。 それはまるで初めてお祭りに来た子供がはしゃいでいるみたいで。 俺が言った事なんか聞いてなかったんじゃないかと思ってしまう。 「逸れるなっていったばかりだろ…ったく、しょうがねーな」 俺はミウを見失わない様に追いかけると、少し離れた場所に立ち止まっていた。 そこは水洗い地蔵が設置してあり、洗う事で寿命が延びると言われている。 「ねえ、洗ってあげようよ」 「いいけど」 「じゃあ最初は私ね」 ミウはそう言うと一歩前に進み柄杓を持ち、地蔵に水をかけはじめた。 1回、2回と清らかにするかのように、満弁に。 そして洗い終わると俺に向かってニコッとした。 どうやら満足したみたいだ。 そんなミウを見ていると無性に俺もやりたくなってきた。 だから俺も一歩前に進むと置いてある柄杓を手に取り2、3回地蔵に水をかけ洗った。 「はいっ」 洗い終わり、クルッと振り向くとミウがハンカチを差し出してきた。 どうやら俺が洗っている間に用意していてくれてたらしい。 「ん。ありが…!!」 俺はそう言うと渡されたハンカチを見た瞬間、ハッとした。 だってこのハンカチは…。
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