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智は私との将来を考えていてくれているんだ。
私も彼しかいないし、次に言われたら即OKをしよう。
だってプロポーズなんてしてくれる人いないもんね。
…ん?
そう言えばずっと前に言われたあの言葉。
あれもプロポーズだよね。
それは未だに鮮明に覚えている。
今から十数年前。
当時、中学生だった私にプロポーズしてきた子がいた。
隣に住んでいた1つ年下の小学生の男の子。
コウだ。
コウは意地悪でいつも私をバカにしていた。
だから私はコウが苦手だった…のに。
そんな彼からの突然のプロポーズ。
「ミウ、俺がお前をもらってやる」
コウはその言葉を残して私の前から消えていった。
あの時は意味が分からなかったけど、今思うと素敵な思い出だ。
だってプロポーズなんてそうはされないもんね。
だから、これは大切な私の記憶の中の宝物。
あれから20年近く。
彼とは一度も会っていないし、今どこにいるかもわからない。
母親から毎年、父親の命日の前日に来てくれていると話を聞くだけだ。
…コウかぁ。
今頃何をやっているのかな?
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