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「提督ッ、いつでも出撃できるわよ! はやく出撃しましょう!」
「そ、そうか? 補給は済んでるか? 耐久力は満タンか? 疲れている者はいないか?」
「補給済み、耐久力満タン、みんなキラキラ、いつでも出撃可能! 準備万全よ!」
第一艦隊の旗艦である五十鈴は、うずうずした様子で提督である俺の出撃命令を待っている。
これでは俺が命令しているのではなく、五十鈴が俺に命令しているようなものだ。
「そうか、なら出撃といくか」
五十鈴はワーイと両腕を上げて喜び、そして俺に敬礼をしながら言う。
「五十鈴、出撃します! 五十鈴に任せて!」
五十鈴は颯爽と司令官室を飛び出していき、第一艦隊の艦娘達を港に集合させる。
俺は軽く溜息をつき、ゆっくりと椅子に座った。
そして目を静かに閉じる。
『提督、全員揃ったわ』
俺の頭の中に五十鈴の声が響く。
艦隊を組んでいる艦娘達とは、旗艦の艦娘を通して心の中で会話することが可能である。
詳しい理屈はわからないが、科学者が言うには、俺と旗艦の艦娘とはテレパシーというもので繋がっているらしい。
そして旗艦の艦娘がアンテナ代わりとなって、艦隊の他の艦娘とも会話が可能なのだ。
つまり旗艦は、俺と他の艦娘達とを繋ぐ基地局の役割を担っている。
そのため旗艦の艦娘が大きくダメージを受けると、俺とのテレパシーが途絶えてしまうので、帰投を余儀なくされてしまう。
正直、俺も詳しいことは知らないので簡単な説明しかできないが、とにかく俺は司令官室にいながら艦娘達に命令を出せるのだ。
『それでは出撃を開始する。いいかみんな、全員ぶ……』
俺が話し終わるのを待たずに、鈴谷がつっこみをいれる。
『全員無事に帰投すること! っしょ? もう聞き飽きまくりの耳タコなんですけど~』
『鈴谷ったら、そういうこと言わないの。ねぇ、比叡姉さま……比叡姉さま?』
『んぅ……はッ! 何ですか!? 寝てません! 寝てませんてばぁーッ! って、何か言ったか、榛名』
『やっぱり寝てらしたのね……んもう、霧島からも何か言ってやりなさい』
『マイク音量大丈夫? チェック、1、2……よし。提督、聞こえてます?』
『んもう、霧島ったら……赤城さん、みんなに何か言ってやってください……って、何を食べているのですか?』
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