2人が本棚に入れています
本棚に追加
俺達の目の前にまでやってきた真っ黒い衣装の艦娘は、ツインテールをなびかせて可愛らしくおじぎをする。
『はじめまして、五十鈴・黒です。よろしくね。』
五十鈴・黒は基地に向かって指をさす。
基地には司令官室がある。
そして五十鈴・黒は提督である俺の本体がいる、司令官室を指さしている。
すると五十鈴・黒の背後に、突如、三連装砲の姿が空中に映し出された。
五十鈴・黒が指をさす動きに連動して三連装砲の映像も動き、そして五十鈴・黒の下にいるリアル艦が、主砲である8インチ三連装砲を司令官室に向ける。
『ふふッ、これで任務完了ね。撃てぇッ!』
五十鈴・黒がそう言い終える直前に、五十鈴・黒のリアル艦が砲撃を受けた。
どごぉぉんッという鼓膜が破けそうな低音と高音が混じった凶暴な爆発音が、びりびりと周囲を震わせる。
直撃を免れてダメージこそなかったものの、五十鈴・黒のリアル艦は黒くすすけてしまう。
『ひどいわね、レディに対してずいぶんと手荒い挨拶じゃない』
『ひどいのはどっちよ! いきなり攻撃してきたのはそっちでしょ! しかも提督に向かって! ふざけんじゃないわよ!』
五十鈴がとっさに反応し、五十鈴・黒に砲撃をしかけていた。
そして五十鈴は五十鈴・黒に向かって進行する。
『この私、五十鈴があなたの相手よ! 覚悟なさい、私の偽物さん!』
『ふふッ、偽物? さぁて、偽物はどっちかしら?』
五十鈴と五十鈴・黒の一騎打ち。
2艦の長良型2番艦が向かい合い、睨み合っている。
『五十鈴には丸見えよ? 20.3センチ連装砲用意ッ! 撃てぇッ!』
五十鈴の背後に20.3センチ連装砲が映し出され、リアル艦に設置されている20.3センチ連装砲が五十鈴・黒のリアル艦に狙いを定める。
そして激しい轟音と共に砲弾が発射された。
五十鈴の先制攻撃は、見事、五十鈴・黒のリアル艦に命中した。
五十鈴・黒のリアル艦は砲撃による爆発に巻き込まれ、激しい爆音と爆風が周囲を襲う。
『ふふッ、何かしら? もしかして攻撃をしたのかしら?』
五十鈴・黒は無傷であった。
直撃を喰らってもノーダメージ、五十鈴は困惑する。
『ウソ……そんな、ウソでしょ? 直撃で無傷だなんて……』
『あら、ウソに見える? ちゃぁんと目を開けて私をご覧なさい。まぎれもない現実よ?』
最初のコメントを投稿しよう!