第1話

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『そういう人を見下す態度、うち超ムカつくんですけど。そういう奴ってマジ嫌いなんだよね~』  五十鈴・黒はふわりと浮いて自分のリアル艦に戻る。  そして鈴谷に向かって砲を動かす。 『おっと、危ないわね』  五十鈴・黒の目の前を46センチ三連装砲の砲撃がかすめ飛んで行った。  榛名が五十鈴・黒に向かって砲撃した。 『あなたの相手は私達全員よ! 例え相手がひとりであろうと、私達は全力で敵を叩き潰すわ!』  五十鈴・黒のリアル艦である長良型2番艦に対し、重巡が1艦、戦艦が3艦、正規空母が1艦、圧倒的な存在感で向かい合っている。  しかし五十鈴・黒は涼しい顔をして艦隊を眺めている。 『そうね、面倒だからまとめてしらっしゃい。全員すみやかに轟沈して差し上げるわ』  赤城は五十鈴・黒に照準を合わせる。  そして赤城の背後には数十機もの彗星が現れ、リアル艦から五十鈴・黒に向かって彗星による艦爆隊が飛び立った。 『ふふッ、私、空母って好きなの。だって絶望する顔が素敵に笑えるんだもの』  五十鈴・黒は8インチ三連装砲に真っ黒い弾を込めた。 『ふふッ、喰らいなさい。撃てぇッ!』  リアル艦から発射された弾は宙で爆発し、大量の子弾が艦爆隊を襲う。  子弾は見事なまでに艦爆隊に命中し、五十鈴・黒を攻撃することなく撃ち落とされてしまう。 『そ、そんな……』  無残にもすべての彗星が撃ち落とされ、艦爆隊は全滅してしまう。 『さぁ、全部の艦載機を発艦なさい。全て撃ち落としてあげるわ』  赤城は言葉を失った。  残る流星や零式艦上戦闘機52型を発艦させても、彗星と同じように撃墜されてしまうであろう。  赤城はなすすべなく、その場にへたりこんでしまう。 『あはははははッ! そう! その顔よ! その絶望したヘタレ顔がたまらなく素敵よ! 本当に笑えるわ! あははははははッ! どうせなら全機撃墜されてから絶望しなさいよ、情けないわねぇ』  不敵に笑い上げる五十鈴・黒に向かって、比叡と霧島が砲の準備をする。  ふたりの背後に46センチ三連装砲が浮かび上がり、同時に砲撃を開始した。  46センチ三連装砲の同時砲撃が五十鈴・黒を襲う。  しかし五十鈴・黒は避ける気配がない。 “どごどぉおおぉぉぉおおおッ”
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