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「南井。大丈夫か?」
「あ、はい。」
片付けを始めると、部長が声を掛けてきた。
「かなり凄かったな。男でも凹みそう。」
「そうですか?まだ怒鳴ってるから優しい方ですよ。」
「………そうなのか?」
「はい。殺しモード…あ、いや。本気で怒ってると、目で殺され…あ、いや。睨まれただけで会社早退しちゃった子もいたくらいだし。
"いい加減な仕事するな"の後に"会社辞めろ"って言われなかった分、優しいですよ。」
「……………よく耐えたな。お前。」
「……………慣れ?」
「……簡単に言うのな……
お前の仕事が出来る理由が分かった気がする。…どれ。設計見てみよう。」
「一応、ここまでですけど。どうですか?」
「……………」
「………ぶちょおーーー?」
見た瞬間、固まっちゃった。
と。
鳴り響いたルームコール。
「はい。設計室です。…え?はい。
……部長、南井さんから御電」
「南井恭平ーーー!!お前!直ぐに戻ってこい!今日中に仕上げろ!これ!」
電話を取り上げられて、すごい剣幕で怒鳴り始めた部長。
…なんだろ?…ま、いいか。
それにしても、あれから一言もその話に持っていかないで仕事に集中してたな。
2時間があっという間に終わった感じ。
草野嬢も来なかったし。イライラせずに…
……イラッ……
あれ。思い出したらまたむかっ腹が……
「南井。」
「あ?…と。すみません。何でしょう?」
「南井恭平が、資料室で迷子になってる。」
「…………は?」
「俺、福田にこれを見せてくるから。お前、南井恭平を玄関まで連れていけ。」
………バカか?うちの旦那。
他社で迷子とか!有り得ねぇ!!
「…可愛いことするって、皮肉たっぷりに言っておけ。」
…部長もニヤ面…
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