悪因悪果

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「あのね、すごく忙しいんだよ!みんな残業なっちゃって。」 「うん。そうらしいな。」 「主婦とか子供さんとかいる人は帰ったけどね、営業の人なんて、死にかけてるよ。」 「接待続いてる?」 「そうなの!南井さんみたい!」 「今日は補佐の仕事?」 「うん。明日までに100件弱仕上げろって。それでね、草野さんが気遣ってくれた!」 「そうか。仲良くやってるか?」 「口数少ないけど、優しいよ!」 「良かったな。」 なんか会えたことが嬉しくて興奮する。 どうでもいいことベラベラ喋っているのに、それを南井恭平も聞いてくれる。 それがまた嬉しい。 「南井さんは?仕事どうしたの?」 「俺?……だから、ちょっと抜けてきたって。」 「大丈夫なの?責任者がいなくて。」 「大丈夫。指示は出してきたから。だからそこまで興奮すんな。」 「…こ……興奮なんてしてない!」 「またまた。嬉しいって顔にかいてるぞ?」 「……………どこ?」 「本当に書いてるわけないだろ。アホか。」 「………!!!」 「寂しかったんだろ?俺も。…ごめんな。 午前様もあと少し続くから、ごめんを言うのは早いけどな。」 「……いつまで?」 「…そうだな……今、昼と夜に業者が入り浸りなんだよ。それがあと三週間くらい。 それが済めばもう少し早く帰れるから。…と、電話だ。……もしもし?」 …こんな生活がまだ三週間も続く… 元々タフな人だけど。 榊のことだ。しっかりプロジェクト以外の仕事も営業も入れているはず。 疲れがとれないうちに仕事の日々。 さすがに心配になってくる。 (お弁当も夜食も、疲れがとれるようなものに変えないとな…倒れちゃう…) そう考えていると、家についた。
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