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「…でも。」
ナヌ?
感動したのも少しだけだったか?
何で"でも"って否定!?
「俺の奥さん、外に出ればモテモテだから、あまり出したくはない。」
「モテモテ?誰が。自分の間違いでしょ?」
「お前は何も分かってないだけ。鈍感女王が。」
「は?どうして!会社でどれだけ人気があったのか、私だって分かってるよ!」
「そうなの?」
「あれだけ苛められたし。女が来てはイチャイチャしてたし。」
「イチャイチャしてねぇし、それは俺のことだろうが。だからさっさと俺は咲のものだって示したくて結婚しただろ?」
「嘘つけ。ただの独占欲だったと言ってたくせに。」
「それは認める。お前は俺の女。
じゃ、またマクベスに戻ってくるか?」
マクベスに?…考えてなかった…
南井恭平と同じ会社で…
南井恭平と同じフロアで…
………あれ。ちょっと待て。
「南井さんの補佐?」
「今は煩い戸田がいるから無理。」
「戻っても意味ない!南井さんの隣は私なの!席がないなら戻らない!」
「アハハハ!お前、本当に俺のこと好きだな。戸田にまでヤキモチかよ。」
「分かりきったこと言わないで!」
からかいモードに入った南井恭平。
こうなるとめんどくさい。
プイッと横を向いて、無視する体勢。
「さーき。そんなに怒るなよ。俺も好きだよ。」
「そりゃーどーもー。」
「咲。こっち見て?」
ゆっくりと見上げると、笑みを浮かべた南井恭平が私を抱き締めて。
「もし働きたいならそれはそれで構わないよ。
ただし、働く場所は必ず言うこと。
自分の体調はしっかり頭に入れること。
仕事のことでも毎日状況を話すこと。いいな?」
「…分かった!やった!ありがとう恭平!」
「…で?何で犬にヤキモチ?」
「……………」
もう…嫌だ…このニヤ面……
嬉しくて抱き付こうとしたのに、万歳状態のまま固まった。
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