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「ミラクル…好きだけど嫌い。」
「なんだそりゃ。」
「恭平との時間、私だって限られてるのに。」
「………限…?何だって?」
「そのデスクも嫌い。そのPCも嫌い!時計も嫌い!」
甘えられる少ない時間、ミラクルは南井恭平に甘えてる。
いつも23時になる時間を気にしなければいけない時計も。
23時になれば、向き合って座るデスクも。
南井恭平を独り占めしているPCも。
何度頭の中で、ダンプカーの下敷きにして、簀巻きにして海へ葬ってやったことか。
「咲、寂しかった?」
「ん!」
「言えばいいだろ?」
「仕事中の南井さんはカッコいいから許す。忙しいのも分かってるから許す。でも、ムカつく3点セットプラスアルファ!」
「ブハッ!」
「笑い事じゃないもん。切実!真剣!」
「分かった!ごめんごめん!」
「だから、今、榊をどうやって殺ってやろうか計画中なんだから。」
「こら。サカキンに侵されない!」
「侵されてないもん。恭平の奥さんは、物分かりが良くなきゃ務まらないって実感してるところよ。」
「…そうだな。俺には勿体ないくらい出来た嫁だよ。お前は。」
「でしょ?」
「ん。だから、ご褒美がある。」
「ご褒美?」
「そ。聞きたい?」
ブンブン首を縦に振って、おでこにペチッとされて止められると、デスクの引き出しからパンフレットが挟まれたファイルを2冊取り出した。
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