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「沖縄旅行じゃないけどさ。日頃、我慢とストレスをたくさん抱えている奥さんにプレゼント。
どこか一つ選べ。そっちは国内。こっちは海外のパンフレット。
もうすぐ結婚して1年経つだろ?1周年記念。久し振りに旅行行こう。」
「ほ…ほ…ホントに?」
「ホントに。」
「や…や…休めるの?」
「休むの。だから、お前の仕事を決めるのはもう少し待ってろ。旅行行ってから仕事始めた方がいいだろ?」
「い…い…いつ行くの?」
「来月始めに行くか。…わっ!何泣いてんだよ!お前!」
「へ?…ホントだ…私、泣いてるサー!」
「…聞き覚えのある台詞だな…」
呆れながら涙を拭ってくれる南井恭平。
「お前がいつも頑張ってくれてるから、俺は家を任せて仕事出来るんだ。
でも、ずっと寂しい思いをさせてるってことも分かってるつもりだぞ?」
「…聞き覚えのある台詞だな…」
「台詞をパクるな。…だから、お詫びと記念とこれからも宜しくってのを兼ねての旅行。…行きたい人!」
「はい!はい!」
「よし。じゃあ場所はお前に任せる。」
「ん!任せられた!…やった!」
「嬉しい?」
「嬉しい!恭平、独り占め!旅行中ずっと独り占め!やった!」
「……………」
南井恭平は分かっていてくれた。それも嬉しかった。
色々考えてた結婚記念日。ちょっと日にちはズレそうだけど、いい記念になる。きっと。
そう思いながらベッドにゴロンと寝転がりパンフレットを眺めると、急に取り上げられて覆い被さってきた南井恭平。
「…何?その可愛い台詞。」
「………はい?」
「やっぱり、さっきの続き。」
「ふぇ…?」
「もう限界。無理無理。ヤらせろ。」
「きゃーーー!何よ!いきなり!」
「咲、抱きたい。もう黙って。」
仕事もまだ済んでないくせに、私を優先に考えてくれて。こんなご褒美までくれて。
世界中探しても、こんな素敵な旦那様はいない。
…なんて考えてる自分は当然、世界一のバカだろうな。
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