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翌日、南井恭平を見送って、午前中に家事を終わらせた。
午後からパンフレットをもって、少し離れた私の大好きな場所に向かう。
外から、お客さんが誰もいないことを確認して。
「たーーのもーーー!」
「お。咲。いらっしゃい。」
「遊びに来た!華怜は?」
「ザンネーン。5分前に眠ったところ。」
「えぇーー。つまんない。零士は?」
「今日は暇だったから、仕込み済ませて帰らせた。飯は?」
「まだ!食べる!」
「ちょっと待ってな。直ぐ作ってやる。」
優しい笑顔と優しい態度。
ここ、"wood"のオーナー、遠藤翔は、私の大好きなお兄ちゃん。
私はずっとここで暮らし、お兄ちゃんに育てられたため、究極のブラコンだ。
「お兄ちゃん、聞いて!南井さんがね、旅行に連れていってくれるって!」
「へぇ。良かったじゃん。」
「ずっと計画してたらしくて、パンフレット持ってたの。溜め込んだもの吐き出してよかったぁ!」
「溜め込んだもの?何を?」
「お兄ちゃんがPC買ってから、ここに来ることなくなったからさ、専業主婦に」
「あ、ストップ。お客さん来た…あれ。おじさんだ。」
「え?すごい偶然。」
「こんにちは…咲ちゃん!」
「おじさん!久し振り!」
五十嵐建設の社長であり、私と翔の叔父に当たる人。
翔が高校を卒業するまで、お世話になっていた大事な人の一人だ。
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