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「えーっと。…怒ってる?」
『怒ってねぇよ。ムカついてるんだよ。』
同じじゃねぇかーー!
『おい。可愛い可愛い俺の奥さん。五十嵐社長に代わってくれ。』
「え。なんでおじさんに?代われるわけないじゃん!南井さん、自分の顔、鏡で見てみなよ!鬼だよ?きっと。鬼!」
『……テメェ…後で覚えてろよ?』
……ひぃぃぃ!!完全鬼になってる!
すると、隣から手が伸びてきて、私の携帯を取り上げられた。
「もしもし?南井くんかい?」
「おじさん!ダメだよ!南井恭平、キレてるから!永久凍土に落とされるよ!」
「咲ちゃん。日本に永久凍土はないから大丈夫だよ。いい子にしてなさい!」
…物の例えでしょーーー!!
頭、大丈夫ですかーーー!!
「あ、うん。ごめんね?…そうなんだ。偶然聞いちゃって、私のところに来ないかと誘ってみてるところ。
南井くんさえ良ければ咲ちゃんは良さそうだし、翔くんも賛成してるみたいだから。」
「モガーーーー!!!」
「咲!黙ってろ!」
カウンターから出てきたお兄ちゃんに口を押さえられて、言葉を遮られながら携帯を取り返そうと必死にもがく。
「…ああ。…ああ。…そうだな…え?今日?…あ、いや。確か19時頃なら大丈夫だよ。
ああ。分かった。……咲ちゃん。ありがとう。どうぞ。」
「ほぇ?」
「南井くんとまだ繋がってる。」
「え゛。切って良かったのに…」
『コラ!咲!聞こえてるぞ!テメェ!』
「…ひぇ……!!もしもし!」
『さっさと家に帰ってろ。ペナルティ。』
プツッ……ツーーッツーーッ
「いやぁぁ!何言ったのよ!家に帰ったら殺される!」
「そんなわけあるか!!」
「アハハハハ。楽しいなぁ。」
…この能天気オヤジ…どうしてくれよう…
頭振ったらカラカラ音が鳴りそうなほど、何も考えてないんじゃないか?
なんて口が裂けても言えねぇ…
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