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その後、重い足取りで家に帰り、定時を過ぎた頃バルコニーに出てパーキングを眺めてた。
10分ほど経った頃
「…うわぁぁ…来たよ…」
向こうから見えてきたレガB4の黒い車体。
長身の旦那様が姿を現すと、直ぐに部屋の中に入って玄関先で正座して。
「いい子にしてるのよ?ミラクル。私、今から怒られるんだから。お座りして?」
分かってるのか分からないけど、正座した私の隣にちょこんと座ったミラクル。
…と。とりあえず。
おかえりなさいって言って。
怒ってる理由が分からないから理由を聞こう。
…いや、先に謝っておくべきか?
なんて考えてると、廊下から足音が聞こえ始める。
歩幅の広い、独特の音。
南井恭平が帰ってきた。
ガチャ!
ドアが開いた瞬間、三つ指ついて頭を下げる。
「お…お帰りなさい。旦那…さ!ま!」
「……………ブハッ!!!」
頭を下げた瞬間立ち上がったのはミラクルで。膝に向かって………もう言いたくない……
怒られると緊張しながら、早く帰ってきた南井恭平にドキドキしながら、結局こんな始末で。
南井恭平は爆笑してるし。
……ハァーーー。決まらねぇ……
ミラクルに文句さえ言う気力もねぇ…
「…シャワー入る…」
「…え?あ、ああ。」
玄関に広がる液体を拭き取り、消毒液と脱臭スプレーをかけた後、バスルームに入る。
下着姿のまま、服の染みを洗ってると、そこに入ってきた南井恭平。
「うわっ!ちょ!何!!」
こんな姿を明るい場所で見られるのは、いつまで経っても慣れない。
恥ずかしくてしゃがみこむと、同じようにしゃがんで抱き締めながらキスをした南井恭平。
「言うの忘れてた。ただいま、咲。」
ニコッ
……グハッ!!!
や…やられた!
至近距離では効果絶大!
数秒前まで落ち込んでた自分!
どこに行ったんだ!
「話があるから早く出ておいで。」
そう言って脱衣所から出ていった。
ヒューーー……スポン!!
あ。お帰りなさい…落ち込んでた自分。
「ハァーーー……」
何を言われるのかドキドキしながら、シャワーを浴びた。
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