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「咲。ほら、言って。」
…またこれ!この感じ!!
おもちゃを見付けたワンパク坊主の顔!
そして、思わず後退り。
「…ま。逃がさないけどね。俺は。」
「……わっ!!わっ!!」
「…ほっぺにチューでもしようか?」
「いや。いいっす!」
「そう?…じゃ、言ってみて?」
一気に間合いを詰められた私は、呆気なく捕まって、資料ファイルと南井恭平の間に収まった。
……つーかさ。
元はと言えば、南井恭平が怒ってたくせに。
どうして私がこんなに責められてるわけ?
納得いかねぇ…
「咲。」
「なによ。」
「…あのな。俺に任せておけばいいんだ。
俺を頼ってもいいんだよ。どんなときでも。」
「…頼ってるよ。いつも。」
「今回のことだって、頼ってもいい。と言うか、俺が頼って欲しいんだ。」
「…最初に言ってたじゃない。この件は自分で解決するって。しなきゃいけないことなんだよ。
私と福田先輩のことでしょ。他のみんな巻き込んで、嫌な思いをさせたくない。
現に南井さんも翔もイライラしてるじゃない。
土曜日のことだってそう。
私は結局南井さんに守られてただけだった。」
「…自分の奥さん守って何が悪いんだ。」
「そういうことじゃなくて!…もう!うまく説明できないけど、私は」
「咲?俺はお前を理解してるよ?ちゃんと。」
「分かってるよ。だから南井さんは庇ってくれたんじゃない。」
「分かってないのはお前の方。」
「……………」
「俺はお前と結婚してるし守る義務もある。
…俺を見限るな。お前が悩んだら一緒に悩む。笑う。泣く。それが夫婦だ。
俺とお前の人生は既に重なってるんだよ?」
………重い一言だ。
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