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重なって時を過ごす夫婦のあり方。
南井恭平はよく言っていた。
そして、自分も言った。
ずっと恋人みたいな夫婦でいようって。
いつでも共に過ごして。
語り合って。
仲良く手を繋いで。
さっきの一言が、ズシッと心に響いた。
それをしてないのは自分で。
南井恭平は守ってるんだ。
カッコいい。これが私の旦那様。
「…だって……南井さんは嫌だもん!
絶対に嫌な思い我慢してるもん!」
…自分がめんどくさい。ホントに進歩ない。
「南井さんが笑ってるんだもん!
コーヒーいれたのに持ってるもん!
草野さんと密室だったもん!」
「アハハ!」
「ムカついた!ムカついた!」
「うん。ごめんごめん。」
ブワッ!と涙が溢れてきて。
南井恭平はハンカチを出して拭ってくれた。
そして、フワッと抱き締めた。
「…奥さん。ヤキモチやき。」
「…うるさいな。」
「俺はお前のものだ。こんな顔を草野に見せたわけでもあるまい?」
「…そうだけど。」
「キスして?咲。」
「は?」
「ちゃんと俺はお前のものだって印つけて?」
「…キスマーク?」
「そう。」
ネクタイを緩めた南井恭平はちょっと屈んで。
ドキドキしながら首筋に唇を当てて。
「…咲。」
「……ん。」
「キスマークは噛んでつけるんじゃない。強く吸ってつけるんだ!」
「……………」
………おっつ。………大失敗。
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