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「…というか。お前たち。ここは会社という聖域なんだぞ?イチャつくな。」
「休憩時間はプライベートなんだ。どこでイチャつこうと俺たちの勝手だろ。」
「………なんか違う…プライベート違うし…」
「休憩前の資料室。…何してた。」
「迷子になってた。」
「…お前は喋るな。南井・妻。お前は何してた。まだ就業中だったよな?」
「部長の命令で…南井さんのとこに」
「…だからそこで何してたと聞いてる。」
「……………」
「南井の会社に報告するぞ。怠慢だと。」
「え!なんで!ちょっと!」
「落ち着け。俺は評価下がる仕事など」
「ダメ!ダメ!怠慢とか!」
「…白状しろ。」
「泣いたんです!私が!だからガブッて噛みついたんです!」
「……ッッ!…咲ィィーーー……」
頭を抱えた南井恭平。
固まった後、大笑いした部長。
呆れた顔の福田先輩。
……そして。
「仲がよろしいのね。……虫酸が走る。」
「……え……?」
「草野!お前…ちょっと待て!」
爆弾発言とも言える一言に固まって。
向こうへ歩き始めた草野嬢を追い掛けた福田先輩の後ろ姿を見ていた。
「…南井恭平。どうなってんの?お前ら。」
「俺にもよくわからねぇ……咲?」
「……………」
「……あーー…ちくしょーー……
お前らのせいだからな!やっと浮上してたのに。俺、もう営業回らないと…。うちの部長が待ってるんだ。……咲。」
「………ン!……ッッ!」
「バカップル!ここ会社…!!」
「咲。…俺、行くからな?」
中庭で堂々と私にキスをして去っていった南井恭平。
それよりも、草野さんの一言が、意味不明で。
……私、何かやったの?彼女に。
嫌悪とも憎悪とも取れる発言だった。
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