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「咲ちゃん。いらっしゃい。南井くんも久し振りだね。」
「ご無沙汰致しております。」
「こんばんは。」
「さ、どうぞ。そっちに座って。」
「ありがとうございます。」
……あら。本当に久々に見た。
営業用の南井恭平だ。
なんだか可笑しい。いつもの顔じゃない。大分引き締まって畏まって。
「……何してるのかな?シャキっとしてろ!」
「え!いや。ごめんなさい。」
「アハハハ!本当に君たちは仲が良くていいな。」
お面を被ってるみたいで、頬を軽くつねってみたらやっぱり本物で。怒られちゃった。
「本日は時間をとっていただき、ありがとうございます。」
「いやいや。私も久し振りに会えて嬉しかったから。気にしないでくれ。
…それで?南井くん。これはただの過保護じゃないんだろう?何が聞きたい?」
「…さすが社長。」
…あれ。過保護だって自分で言ってたくせに。
まったく。外面だけはいっちょまえだな。おい。
「…って!違うの?南井さん!」
「アホか。当たり前だ!」
「何?何言う気?また要らんこと言う気?私…」
と、言いかけたら、耳元に口を寄せた南井恭平がボソッと一言。
「ペナルティ増やされたいの?」
「……………!!」
「いい子で黙ってろ?ん?」
「…は……はひ………」
とびっきりの笑顔で言われた!
逆に怖いです!何も言いません!
「咲ちゃんがうちに来るのが反対と言うわけでもなさそうだな?」
「もちろん。これ以上ない場所ですよ。そこらのパートや会社に働かせるよりずっといい。」
「それは良かった。」
「それで、一つだけお約束していただきたくて。」
「約束?なんだ?」
うーん。
よく分からない。
そう思いながら、南井恭平の言葉を待った。
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