10081人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃ、明日の昼ね。13時にここに来る。」
「ああ。首を長くして待ってるよ。」
「ありがとうございました。」
明日の面接を約束して、五十嵐建設を後にした。
新しい職場。久々の就業。
ちょっと楽しみ。
「咲。どうした?帰るぞ。」
「うん。」
ボーッと眺めていたら、南井恭平から声をかけられて、慌てて助手席に乗り込んだ。
「なんだ?楽しみか?」
「うん。久々の感覚味わえそう。」
「お前は俺が鍛えたからな。どこに出しても十分な仕事が出来ると思う。胸を張っていけ。」
「アハハ!そうだね!」
「…今の補佐は、まだまだ不十分だからな。若干やりにくい。」
「亜美?何で?」
「俺の求めているものがイマイチ分かってない。特に老舗になるとテンパるのが難点。」
「だって、老舗の営業資料は、南井さんはかなり拘りありすぎるもん。」
「それでもお前はきっちり仕上げてた。」
昔のことなのに、今でも誉めてくれる南井恭平。あの頃が懐かしく思える。
「…社長も榊さんも泣きつくわけだな。」
「……………」
あれ。今度は南井恭平自ら榊の話をしてるし。
「榊さんねぇ…何でそういう話になったんだろうな。不思議だ。本当に不思議。」
…違う!今は南井恭平から!
なんて、不服に思いつつ運転中の南井恭平を睨み付けた。
が。直ぐに下を向いた。
…ヤバい。鬼…鬼…鬼ーーー!!
「……あの……」
「なんだ?」
「…ペナルティ…?増えて…?」
「当たり前だろ。そんなこと。」
「どれくらいか聞いても宜しいでしょうか?」
「聞きたいの?」
「……は……はひ……」
「10の68乗。」
……いやぁーーーーー!!!
無量大数ーーーーーー!!!
最初のコメントを投稿しよう!