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「ただいまー。ミラクル?」
「ただいま。あ、寝てるじゃん。今日はいい子にしてたんだな。」
「甘いよ。…そこから一歩も動かないでね?これ、ただ不貞腐れてるだけだから。」
「…は?」
リビングに上がれば、案の定そこらに点々と黄色い液体があって。
「やっぱりな。ごめんね。寂しかったね。」
そう声を掛けて頭を撫でたら、微かに尻尾が動いた。
そこから離れて、リビングを綺麗に拭き取ったあと、南井恭平を中に入れる。
「お前、なんだかんだ言って、ミラクル好きだよな。」
「うるさいなぁ…」
ウェットティッシュを袋に入れて固く口を縛り、それを捨てるとバスルームに向かい、お湯を張る。
(あ。しまった!洗濯物!)
取り込み忘れた洗濯物を入れ、今日は湿気がなかったためか夜露で湿ってなかったことに胸を撫で下ろす。
それを自分の部屋に入れたあと、ついでにスーツを着替えてキッチンに向かい、夕飯の準備。
「咲、何か手伝うか?」
「…へ?いいよ別に。お風呂入ってきたら?上がる頃には夕飯出来てるよ。」
「……そう。じゃ、行ってくる。」
「……??」
なんか、らしくないこと言ったと思ったら、肩を落としてバスルームに入っていった。
なんだ?ありゃ。
南井恭平は、たまにそんな不可解な言動をすることがある。
いつもスルーしちゃうけど。
「ま、いっか。食事作らなきゃ!」
と。今度はパタパタと食事の準備を始めた。
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