初夏

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3人ともジョッキの中身が少なくなってオーダーした。会話が一瞬途切れたところで石原が切り出した。 「川村さん、実は今日話があって誘ったの。」 私はちょっと構えて聞いた。また何かやってしまったかと不安になった。 「なんでしょうか?」 「実は私達二人なんだけど。」 私は山崎の顔も見た。 「ごめんね。私達6月いっぱいで会社辞めるの。」 私は一瞬言葉を失った。 「え?二人ともですか?」 動揺を隠しきれずに聞いた。 「うん。そう。もう支店長や課長にも話してあって決まった事なんだけど。」 私はショックを受けながらも 「そうなんですか。」 と言った。山崎も言った。 「ごめんね。ひとみちゃんから辞める相談受けてたんだけど、ひとみちゃん辞めるなら私も辞めたくなっちゃって。」 私はただ 「そうなんですか。」 と繰り返して言うしかなかった。まだ後任は決まっていないのでそれまでに一連のルーティンワークだけは覚えて欲しいという事だった。 石原が言った。 「私達だけしか教えられない事は私達がそれまでに教えるけど明日から実務の大半は原田課長から教わって欲しいのね。」 私は思わずヒッと息を飲んで絶句した。 「嫌だよね。」 笑いながら石原が言う。 「でもきちんと教えてくれるから怖がらずに頑張って。」 私はただ 「はい。」 とだけ言った。それまでの楽しい空気が一瞬にして消えてしまった。
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