共鳴

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「そろそろ行こうかと思って。」 とナオが言った。 「ああ、ごめん。ぼんやりしてた。」 と私が言うと 「目が遠くに行ってたぞ。」 と課長が言った。 「じゃあ、行こう。」 と私は席を立った。 「デートか。いいなぁ。俺達もデートでもするか!」 と冗談を言った。 「いいですよ、課長。私達もデートしましょ。ナオだけ幸せなのはシャクだし。」 私も笑いながら冗談で返した。 「なんだ、またドタキャンか?」 と課長が聞いてきた。 「ドタキャンじゃありません。今日は最初から約束してないんです。」 「そうかそうか。フラれたか。」 課長はまだふざけた言い方をしていた。 「フラれてはいないです…まだ。」 半分真面目になってしまった。 「はいはい。出ましょ、出ましょ。」 仕切り直して私は明るく言った。
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