共鳴

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店を出るともう真っ暗だった。課長はいつもと変わりなく 「じゃあまたな。来週。」 と言って日比谷の地下鉄の入口に去って行った。 不可解な午後だった。飲んでいる間もごく普通の会話に終始した。会社の事や課長の家の事、奥さんの事、つきあっているともいえない私の彼のこと。 別に詮索や深い意味もないただの話題。 (よくわかんないや。) 考えるのはやめた。 課長はただなんかの理由で、もしかしたら奥さんと喧嘩したか何かでたまたま家に帰りたくなかったんだろう。ただの暇つぶし。 そう考えるのが一番すっきりした。あれこれ考えるのはやめた。
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