真夏の夜

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組織変更でナオも銀座支店に異動になりカウンターに配属された。有楽町営業所は閉鎖になったのだ。 ナオが横浜に行かなくてよかった。ナオ自身は横浜に行きたがっていたけれど私はナオが一番の親友だったから嬉しかった。 歓迎会の会場はいつもの「一見」だった。ナオとマリとサトミの同期4人で歩いて向かった。帰社が遅れた営業は後からやってきた。 支店長が簡単なスピーチをして乾杯の音頭をとった。その後はいつもの飲み会だ。 時間が経つに連れみんなが席を移動してそろそろ一次会もしめる頃かなという頃、課長が私の前に座った。 課長は私にだけ聞こえる声で 「店を出たらみんなを撒こうぜ。」 と言った。私は 「え?まくっていっても……」 (無理じゃないかな?どうやって?なんで?) 聞きたかったがすぐに脇に島田が来て課長も何事もなかったように別の話を始めてしまった。私は (何???どうすればいいの?どうしろっていうの?) と思いながら二人の会話に相槌をうっていた。その間も私は必死に課長にアイコンタクトでうったえかけたがその度にスルーされた。 (もう!どうしたらいいわけ?) ドキドキしてきた。
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