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微風 #2
「川村は今日は予定ないの?」
と課長が聞いた。
「ないです。って言うか無くなった。」
私は答えた。
「あーあ、言っちゃった。それタブーですよ、課長。」
とナオが言った。
「なんだ、ドタキャンか。」
と楽しそうに笑いながら課長は言った。
「そうですよ。ドタキャンされたから今こうして暇つぶししてるんじゃないですか。」
と私は開き直って言った。課長はまだ愉快そうにニヤニヤしていた。
「有楽町無くなったらナオ達はどうなるんですか?」
私はダイレクトに聞いてみた。仕事の話だ。有楽町営業所は7月いっぱいで閉鎖になる事は発表されていた。
「まだ決まってないよ。」
課長は答えた。決まっていたとしても私達にこんな場で話してくれる訳はなかった。
「横浜がいいな。」
ナオが言った。今より30分以上通勤時間が短くなると言った。
「えー、でもナオが横浜行っちゃったらつまんないな。」
と私は言った。
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