真夏の夜 #2

1/3
前へ
/35ページ
次へ

真夏の夜 #2

改札を出ると課長は私の手を引いてずんずんと歩いて行った。 「課長!」 アドレナリンが体中をめぐっていた。 「課長!早すぎ!」 私はほとんど小走りで手を引かれて行った。 「もう大丈夫だな。」 やっと課長が歩調を緩めた。 「課長、どういう事ですか?」 私は抗議の声をあげた。 「日比谷公園にいこうぜ。」 答えになっていなかった。そういってまた猛然と歩き出した。手がぐいぐいと引かれていく。 でも私、嫌じゃない。全然嫌じゃない。というよりむしろドキドキしてドキドキして…… こんなに心臓が踊っているのは走ったから? 違う。そうじゃない。こんなに心臓がバクバクしているのは……まるで…… そう。恋をしているみたい……
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加