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真夏の夜 #2
改札を出ると課長は私の手を引いてずんずんと歩いて行った。
「課長!」
アドレナリンが体中をめぐっていた。
「課長!早すぎ!」
私はほとんど小走りで手を引かれて行った。
「もう大丈夫だな。」
やっと課長が歩調を緩めた。
「課長、どういう事ですか?」
私は抗議の声をあげた。
「日比谷公園にいこうぜ。」
答えになっていなかった。そういってまた猛然と歩き出した。手がぐいぐいと引かれていく。
でも私、嫌じゃない。全然嫌じゃない。というよりむしろドキドキしてドキドキして……
こんなに心臓が踊っているのは走ったから?
違う。そうじゃない。こんなに心臓がバクバクしているのは……まるで……
そう。恋をしているみたい……
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