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約束の時間の少し前に駅に着いた時にはヒカルはもう来ていた。私を見つけて手を振っている。
「おはよう。」
と言いながら私は近づいていった。
「本当に来てくれるかちょっと心配だったよ。」
ヒカルが言った。
「私、約束をすっぽかしたりはしないよ。」
私は言った。
「行こう。」
ホームへ上がって電車を待った。休日は本数が少なくて結構待った。
こうして並んでみるとヒカルは背がとても高かった。高いとは思っていたけれどこんなに違うと思わなかった。顔立ちは悪くないから好きな人は好きかもしれない。
でも容姿についてはともかくその全体的に醸す雰囲気が私のいわゆる「タイプ」とは正反対だった。
私は「影がある」とか「不器用で口下手」で「無口」でいつも一人でいるような孤独感をまとったハードボイルドを感じさせる男性に無性に弱かった。
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