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「さっきの男、誰?」
ビールを飲みながら課長が聞いた。
「え?」
私は聞き返した。
「なんか楽しそうに話してたじゃないか。」
「ああ。函館で一緒だったの。石田さんの後輩。」
と私は答えた。
「そいつがわざわざミズキに会いに来たの?」
課長は胡散臭そうに言った。
「わざわざ会いに来たわけじゃないよ。会社がすぐそばだから毎日通るんだって。」
私はなぜか弁明するように言った。
「ふうん。なんか面白くないな。そいつお前に気があるんじゃないの?」
課長が言った。
「妬いてるの?課長?」
私は面白がって言った。
「当たり前じゃないか。」
と課長が言った。
「嬉しい。やきもちやくのはいつも私だけかと思ってた。」
私は笑った。
「函館でなんかあったの?」
課長が疑わしげに聞いた。
「何にもないよ。あるわけないでしょ。課長がいるのに」
私は言った。
電話番号を教えた事はもちろん黙っていた。
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