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「結婚するの。」
私は開口一番そう告げた。久しぶりに課長に時間を作ってほしいと言った。
おそらく課長にとっては聞きたくない話があるのだろうと予期していたはずだと思う。
「そうか。」
課長はそう一言、言った。
「もうデートは出来ない。二人で飲みに行ったりももうしない。これで終わりにしたいの。」
私は宣告した。
「いつ?いつ結婚するの?」
「まだいつとは決まってないけれど親にも報告したの。」
私は言うだけ言って口をつぐんだ。課長は煙草に火をつけた。
「おめでとう。」
そう言ってため息のように長く煙をはいた。
「とうとう俺のミズキじゃなくなってしまうんだな。」
課長は私の手を取ってぎゅうっと握りしめた。課長のいろいろな思いが伝わってくるような気がした。
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