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その男はヒロアキといった。
背が高く、身につけているものは高価ではなさそうだけれど、センスは悪くない。
誰か知っている顔に似ていた。そういえば本人もメールで言っていた。オリンピックにも出場したアスリートだ。ルックスは悪くない。
すぐに声が届く距離で電話をかけた。
「もしもし?」
相手が電話を受けながら私に近づいてきた。
「チャイナブルーさん?」
「そう。恥ずかしいから大きな声で言わないで。」
「ああ、ごめんごめん。」
そして「たった今、試着を終えて出てきた彼女」を見るかのように私を眺めた。
「一応はじめましてですね。
私、ミサキっていうの。」
「ミサキちゃんか。よろしくね。」
「ミサキちゃん、可愛いじゃん。十人並みなんて言ってたからあまり期待してなかったけど美人じゃない。ラッキーだな。」
「ありがとう。」
「ところで何食べたい?」
「ラーメン以外ならなんでも。」
「普通、初対面でラーメンはないだろ。酒飲めるんだよね?確か。」
「うん。お酒飲みたい。」
小洒落た居酒屋に行った。
「いただきます。」と「ごちそうさま。」をきちんという人だ。それが最初に印象に残ったことだった。
「半分ずつにしよう」といいつつ、おいしそうに食べた。
そしてペットでもみるように私を見て髪に触れた。
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